本日、県人事委員会は、議会議長及び知事に対し給与改定に係る報告・勧告を実施した。給与水準を民間相場に準拠するように改定し、平均で10,455円(2.98%)、一時金0.10月引上げるよう勧告した。併せて人事院が示した「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について、内容をほぼ踏襲する形で報告事項として触れた。
県職労では、この間、民間給与実態調査の精確な反映など求め、組合員署名行動に取組み、富山県独自の勧告を行うよう求めてきたが、物価高騰に見合った賃金改善となっておらず、国に追随した勧告にとどまったことは、非常に残念である。
今回の勧告について県職労は、以下の点について課題を取り上げ、声明を発表する。
1.賃金の改定内容については、連合富山が春季生活闘争の成果として、過重平均4.96%(13,039円)だったことが公表されている。配分を若年層に偏り全世代での平均改定としないことは、民間給与実態調査での格差是正が本務の勧告制度上、整合性は取れない。
2.地域手当については、人事院の制度改定である市町村の人材確保、公平性を踏まえ、県内一律支給を求めて、人事委員会委員長に対し署名を取組んだ。その結果、働く地域よって給与の格差が生じることに「合理的な説明が難しい」とさせ、「県内全域一律の支給割合とすることも視野に検討」を明記させた。このことは我々が主張し続けてきたことがようやく一歩前進したもの考える。
3.獣医師の初任給調整手当について、人事委員会は全国調査を実施した上で、初年度の支給額について優位性が低下しているとし、見直しを検討する必要性に言及したが、薬剤師の初任給調整手当について昨年を大きく後退する表現となったことは遺憾である。
4.人材確保については、この数年間実施した施策について触れたうえで、民間企業との人材獲得の競合などの課題について言及した。しかし、近年問題化しつつある「若年層職員の職場定着や離職防止に資する給与制度」と踏み込んだ表現を行ったが、離職者対策に踏み込んだ内容とはなっていない。また、私たちが主張する初任給格付の抜本的な見直しまで言及しなかったのは遺憾である。
5.長時間労働の改善については、知事部局における時間外勤務時間数は、地震対応もあったことは否定しないが、昨年を大きく上回る平均257.9時間(昨年243.2時間)になることを言及したことは、改善に向け前向きに捉えることができる。加えて「リアルタイムに勤務時間を把握管理できる環境を整備する必要」に言及した。また、長時間労働の縮減を目指す上で必要な方策として、「他律的業務の部署」の指定の縮小や期間の短縮、さらに昨年に引き続き「必要な人員の確保」に言及した。
本年の報告・勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置機関としての人事委員会勧告制度である以上、私たちの声に応えるという十分な責務は果たされておらず、また、富山県職員の生活・職場実態を鑑みた場合、納得できるものではない。私たちは、県当局に対し秋季闘争の中で職員が意欲を持って、健康で安心して働き続けられるよう賃金・労働条件の改善をめざし、組織の総力を挙げて取り組みを強化していく。
2024年10月9日
富山県職員労働組合