県職労の主張(2019年10月11日)

2019 富山県人事委員会報告に対する声明

 富山県人事委員会は、本日、知事及び富山県議会議長に対して、富山県職員の給与等に関する報告及び勧告を行った。

 その概要は、本年4月の公民較差に基づき、月例給を406円(0.11%)、一時金を0.05月引き上げる内容であり、月例給と一時金ともに6年連続で引き上げ勧告となった。しかし、8月から取り組んだ全組合員署名での要請事項に応えることなく、人事院勧告をやや上回るといいながらもほぼ国追随の勧告であり、大変遺憾であると言わざるを得ない。こうした報告・勧告に対し、以下の点について県職労としての見解を示す。

第一は、県職員のあるべき賃金水準への認識についてである。

 本年の月例給と一時金の引き上げ勧告については、今年の民間春闘結果や人事院勧告からは当然の結果であるが、県内民間企業の動向等を精確に反映したものとは言い難く、また、組合員の期待感や実質賃金の維持・向上という強い要求に十分に応える内容には至っておらず、人事委員会の公民比較が精確に行われたのかという疑念を抱かせるものであり、極めて不満な内容がある。過去最低となった職員採用試験の応募状況や採用辞退者への対応など様々な要因の一つに処遇の改善を挙げ、その対策・対応についても報告・勧告の中で課題として触れるべきだとしてきたが、私たちの要請にはまったく応えようとしておらず、労働基本権代償措置機関としての責務を果たしていない。

 加えて、住居手当については、減額される職員もおり、本年の勧告にこだわるべきではないということを申し入れてきたが、勧告されたことは遺憾である。

第二は、地域手当支給方法への問題解消に関与しない姿勢である。

 手当の創設から10数年経っており、すでに問題点は明白である。これまでに県人事委員会で行った各県の支給状況の全国調査の結果や県内民間企業における実態においても、富山市だけ3%支給という現在の支給方法を継続していくことには問題があることから、是正勧告を求めてきた。我々としては、過去の人事委員会調査の矛盾の解消を含め取り組んできたが、地域手当の県内の支給のあり方についての全く問題解消をしようとしないスタンスは大変憤りを感じる。

第三は、長時間労働是正にむけた具体的な方策が不十分である。

 我々は昨年の働き方改革関連法の成立以前から県職員の長時間労働の改善を訴えてきた。本年4月の人事委員会規則改正を踏まえ実効性のある制度となるよう再三にわたり求めていた。しかし、勧告では、県と合意してきた「法令順守」「過労死ライン超え『0』」への具体的な道筋が見えない。4月の規則改正以降、上限時間超、36協定超、過労死ライン超等の条例違反が多数発生を認識しながら、そのことは触れようとせず、具体的な対策を示していないのは、労働基準監督権限を有する人事委員会としての主体的な取り組み及び任命権者に対して早急な改善が求められる中にあっては、全く不十分と言わざるを得ない。

第四は、臨時・非常勤職員の処遇改善への方策が全く見えないことである

 県の職場では、来年4月から会計年度任用職員制度が導入される。その制度の具体的な規則を作るのは人事委員会の役割である。今後勧告によって賃金が左右される職員となる人たちへの具体的な内容が一切触れられなかったのは、人事院勧告と比べても大変問題である。新しい制度への注意喚起を含め勧告に触れるべきだと我々は指摘する。

 本年の報告・勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置機関としての人事委員会勧告制度である以上、私たちの声に応えるというその責務は果たされておらず、また、富山県職員の生活・職場実態を鑑みた場合、納得できるものではない。今後は県当局に対し秋季闘争において職員が意欲を持って、健康で安心して働き続けられるよう賃金・労働条件の改善をめざし、組織の総力を挙げて取り組みを強化していくものである。

 2019年10月11日

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