県職労の主張(2015年10月19日)

2015 富山県人事委員会報告に対する声明

富山県人事委員会は、本日、知事及び富山県議会議長に対して、富山県職員の給与等に関する勧告・報告を行った。
その概要は、本年4月の公民較差に基づき、月例給を1,379円・0.37%、一時金を0.10月引き上げる内容であり、月例給と一時金ともに2年連続で引き上げ勧告となった。ただし、給料表は平均0.4%引き上げ勧告としたものの、月例給較差の内、実際に給料表へ配分される原資は402円にとどまり、939円は特例加算として配分されることとなった。これは、「給与制度の総合的見直し」による現給保障期間であるため、給料表をプラス改定しても原資を十分に活用することが出来ず、引き上げ効果が表れない結果となっているためである。その中で、特例加算での全世代への配分は一定評価できるものの、本年度限りの暫定措置であり、来年度以降に課題を残すものとなった。こうした報告・勧告に対し、以下の点について県職労としての見解を示す。

第一は、県職員のあるべき賃金水準への認識についてである。

本年の月例給と一時金の引き上げ勧告については、民間賃金の動向等を踏まえたものであるとはいえるが、昨年4月からの消費税率引き上げや地共済掛金引上げ、物価上昇局面にあって、実質賃金の維持・向上という強い要求に十分に応える内容には至っておらず、不満といわざるを得ない。  さらに、地域手当の支給凍結は8年間、管理職を含めた独自賃金カットは10数年間、臨時的減額措置と称し人事委員会勧告を無視して継続されているにもかかわらず、「諸情勢が整い次第、解消に向け努力され、給与勧告制度に基づく本来の職員の給与水準が確保されることを要望する」とほぼ毎年同様の報告をしており、代償措置機関としての責務を果たしていない。

第二は、地域手当支給方法への問題解消に関与しない姿勢である。

労使が「本県の実情に合わない手当」であるとしている地域手当に関して、昨年12月だされた総務省の検討会報告で、「人事委員会勧告に基づき、一律支給ではなく地域手当の趣旨を没却しない範囲で支給割合の差の幅の調整を行うことには、一定の合理性があるものと考えられる。」と示され、非支給地に対する支給が人事委員会に委ねられたにもかかわらず、このことについて、勧告・報告でも全く触れられておらず、地域手当の支給方法への問題解消をしようとしないスタンスは、労働基本権代償措置機関としての責任を果たしていないと言わざるを得ない。

第三は、職場実態とはかけ離れたワーク・ライフ・バランスの推進報告である。

既に、ここ10数年の3次にわたる人員削減により、職場は疲弊し、職員の労働は密度を増し、結果として時間外労働は毎年過去最高を更新している。職場から時間外労働縮減に向けた方策を問うと、「人員増」「欠員補充」などの回答が多数を占める。報告にある事項は既に職場で実施済みの内容を羅列しているだけであり、具対的解決策にはなっていない。多くの職員から、「制度は充実してきているが取得が出来ない」との声が聞こえており、職場実態を直視せず、机上の空論であり、遺憾と言わざるを得ない。

本年の報告・勧告は、公務員の労働基本権の代償措置機関としての人事委員会勧告制度を考えた場合、国追随でなく公民較差を解消したことは一定評価できるものの、富山県職員の生活・職場実態を鑑みた場合、全てが納得できるものではない。今後は県当局に対し、秋季闘争において職員が意欲を持って働き続けられるよう賃金・労働条件の改善をめざし、組織の総力を挙げて取り組みを強化していくものである。

2015年10月19日

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