県職労の主張(2014年10月16日)

2014 富山県人事委員会報告に対する声明

富山県人事委員会は、本日、知事及び富山県議会議長に対して、富山県職員の給与等に関する勧告・報告を行った。  その概要は、2014年分については、月例給を898円・0.24%、一時金を0.15月引き上げる内容だが、一方で、「給与制度の総合的見直し」と称し、2015年分の給料表を平均2%引き下げる人勧制度上あるまじき勧告を行った。「給与制度の総合的見直し」については、地方公務員では賃金水準の引き下げでしかなく、地方経済にも大きく影響し、都市と地方の地域間格差を拡大させる問題などがあると再三指摘していたが、勧告を行ったことは、県職員の賃金・生活実態を踏まえないばかりか人勧制度の趣旨を没却するものと言わざるを得ず、自らの存在意義さえ否定するものである。こうした勧告・報告に対し、遺憾の意を示すとともに以下の点について県職労としての見解を示す。

第一は、県職員のあるべき賃金水準への意識の低さである。

本年の月例給と一時金の引き上げ勧告については、民間賃金の動向等を踏まえたものであるとはいえるが、本年4月からの消費税率引き上げや物価上昇局面にあって、実質賃金の維持・向上という強い要求に十分に応える内容には至っておらず、不満といわざるを得ない。  さらに、地域手当の支給凍結は7年間、管理職に対する独自カットは10年間、臨時的減額措置と称し人事委員会勧告を無視して継続されているにもかかわらず、「諸情勢が整い次第、解消に向け努力され、給与勧告制度に基づく本来の職員の給与水準が確保されることを要望する」と毎年同様の報告をしており、代償機関としての責務を果たしていない。

第二は、国追随の「給与制度の総合的見直し」勧告を実施したことである。

人事院が勧告した「給与制度の総合的見直し」については、地域間の格差を拡大し、公務員の士気の低下を招くことなどから、この見直し勧告には強く反対してきた。しかし、県人事委員会は、閣議決定を受けての総務省からの要請、総務省の「見直しに関する検討会」の基本的方向性などを理由として、私たち職員団体からの要請を全く配慮せずに一方的に国追随勧告を強行したことは、労働基本権制約の代償措置としての第三者機関の役割を放棄したものであり、怒りをもって抗議する。

第三は、地域手当支給方法への問題解消に関与しない姿勢である。

労使が「地方の実情に合わない手当」であるとして指摘していた地域手当に関して、総務省の検討会中間報告は、「人事委員会勧告に基づき、一律支給ではなく地域手当の趣旨を没却しない範囲で支給割合の差の幅の調整を行うことには、一定の合理性があるものと考えられる。」と示しており、支給率0%の地域に対しても地域手当の支給を認めるものであるが、このことについて県人事委員会は検証すらせず、地域手当の支給方法への問題解消をしようとしないスタンスは、本県の第三者機関としてもその責任を果たしていないと言わざるを得ない。

本年の勧告・報告は、公務員の労働基本権の代償措置としての人事院・人事委員会勧告制度を考えた場合、国追随で全く富山県職員の生活・職場実態を鑑みたものでなく、総じて納得できる内容ではない。今後は県当局に対し、秋季闘争において職員が意欲を持って働き続けられるよう賃金・労働条件の改善をめざし、組織の総力を挙げて取り組みを強化していくものである。

2014年10月16日

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