さわやかな五月の風が吹く季節となりました。ところが国政では国民生活破壊力満載の台風が発生、接近中です。
一つ目は、安保法制。安倍政権は、これを「平和安全法制」と呼び換えました。また、自衛隊を海外派兵する恒久法を「国際平和支援法」と言い換えました。そして「切れ目のない日本防衛」「海外で日本人を守るのが目的」と説明します。しかし、5月20日の党首討論では、自衛隊の活動拡大に伴う自衛隊員をはじめ、日本と日本人の危険拡大リスクや大戦の評価は語らず、断定口調で安全ばかりを強調。説明と議論を避けました。首相は5月14日の記者会見で「切れ目のない」を繰り返しましたが、私には「けじめのない」「歯止めのない」と聞こえます。もはやできないのは日本単独の侵略戦争ぐらいではないのかと。富山でも反対する集会や講演会が多数開催されています。
二つ目は、労働法制の改悪です。派遣法改正では「正社員への道を開く」とアピール。しかし、改正案ではそんな保障はしていません。実際には企業が派遣を使い続けられるようにし、「生涯派遣への道を開く」ものです。労働基準法改正では、「時間に縛られず、成果で賃金を決める制度」と強調。しかし、法案に成果主義の規定はなく、労働時間の規制を外すことだけ記載。実際は「残業代ゼロ・過労死促進の制度」です。反対する日本労働弁護団などは5月14日、都内で集会・デモを行い、連合、全労連、全労協も結集。2500名が参加しました。また、連合は翌15日、終日の国会前座り込みを行い、800名以上が参加しました。
絶対儲かります」「あなただけに教えます」は、詐欺師が使う常套句ですが、「うまい話」には裏があると思った方が良さそうです。マイナンバー制では「行政手続きが便利になる」と言います。しかし、狙いは国民への監視強化では。先行する韓国や米国では個人情報漏出や「なりすまし事件」が多発。問題になっています。経済政策でもアベノミクスで景気回復したと言いますが、円安による物価上昇で庶民の生活は厳しさを増し、産経新聞などの調査で、約8割が「実感なし」と回答。成長戦略では大企業・多国籍企業向け政策をさらに推進。大多数の国民に恩恵がない経済政策になっています。
イギリスの作家ジョージ・オーウェルの小説「1984年」では全体主義の超管理社会が描かれています。その国では、少数独裁支配を半永久的に維持するため、「戦争は平和である」「自由は従属である」「無知は力である」のスローガンを掲げ、政府は、戦争担当部門を「平和省」、欠乏状態の食料物資配給担当部門を「豊富省」、党の主張すべてを正当化するプロパガンダ担当部門を「真理省」、国民監視と洗脳を担当する部門を「愛情省」と呼びます。そんな国にならないためには、政府が国民の意思を政治に反映させる責任を負うこと、そのために政府のあらゆる部門に憲法のコントロールを効かせることが重要です。