連合は、労働法制改悪や年金積立金の株式運用拡大に反対する「ストップ・ザ・格差社会」キャンペーン第3弾を実施中。前段では問題点を明らかにしながら、地方議会での意見書採択を進めます。後段は、メーデーで特別決議を採択後、国会が終了する6月までの期間、首長への要請行動や地方議員との対話、市民集会などの統一行動を呼びかけ、並行して5月27日には全国統一集会が予定されています。
日本労働弁護団の中野麻美弁護士は、「労働時間規制は、労働者の人権保障のためのものだ」と主張。労働基準法に定められた労働時間の規制は、労働者を労働から解放し、介護や子育てをはじめとする生活や趣味、組合活動といった時間を保障するためのもの。それを侵害する時間外労働には、割増賃金という「制裁金」が課されるのです。一日単位の労働時間規制に適用除外を作ることは、生活の自由と仕事を両立させる環境の破壊に繫がります。
県職労新聞では今「年金一元化のポイント」をシリーズで連載しています。そもそもこの問題は、公務員制度改革の中で「公務員への労働基本権付与」などと一体的に議論されてきたはず。しかし、いつの間にか年金制度自体の問題にすり替えられ、10月に一元化されます。
そして、今度政府がやろうしているのが、投資ファンドに年金運用を解放すること。現在、国民年金、厚生年金の管理運営を行っているのは「年金積立金管理運用独立行政法人」略称GPIF(ジーピフ)です。運用残高は約130兆円で、世界最大の機関投資家といわれています。これまでは年金法の規定に沿って、長期的な観点から安全かつ効率的運用として、国内債券を中心に運用してきましたが、昨年10月にリスクの高い株式への投資比率を定められた制限上限まで大きく引き上げました。これにより、予想される最大損失額は約10.4兆円から21.5兆円と約2倍に膨らみました。政府は、物価上昇に応じた利回りを求めると言いますが、本音は、国家予算に匹敵する年金財源を、投資ファンドなどを通じて「成長産業」に振り向けようとの意図が透けて見えます。高利回りを見込む反面、運用に失敗したり、リーマン・ショックのような暴落が生じた場合、大損失となります。しかも、かつての大蔵省資金運用部預託で、運用損が出れば税金で穴埋めするような仕組みもありません。大損失の場合、制度への信頼を根底から揺るがし、国民の老後を危険にさらすことに。また、専門家の「リスク運用でも利回りは長期的には大差がない。国内債券比率60%の基本資産構成でも年金財源確保は可能」との指摘も。結局預かった保険料を「もっぱら被保険者の利益のため」という目的以外に使おうというもの。それなのに今後1年を目途に運用対象の見直しを進め、運用管理を行う法人の機構改革を行う予定。連合も提起する「年金は誰のもの?」を問いかける運動を強めなくては。