風に吹かれて 25(2014年12月10日)

佐々木委員長コラム「風に吹かれて」 25(2015年12月10日)

岐路に立つ政治/安倍政権を審判する一票の行使を

衆議院選挙が公示されました。なぜ今解散なのか、大義は何か、不審点をあげればきりがありません。しかし、「安倍政治」を検証する絶好の機会でもあります。

まず、集団的自衛権の行使容認です。「96条改憲」の姑息なやり方に批判が続出したため、7月に集団的自衛権容認を閣議決定。昨年12月には、国民を目隠で「真実」を見えなくする特定秘密保護法を強行採決。武器輸出を解禁し「死の商人」として売り込みに奔走。来春の「日米防衛協力のための指針改定」では、日米共同作戦を地球規模で行えるように改めることを提起。国民に信を問うことなく進めたこの方向を信任するのかどうかが問われています。

次に、原発の再稼働です。安倍政権は「世界一の安全基準をクリアした以上動かすのは当然」という考え。しかし、規制委自らが「これで安全とは言えない」と認めています。国民の安全と原発推進派の利益とどちらを優先するのかが問われています。

三つに、消費増税です。8%引き上げによる増税分5兆円から社会保障の充実に回されるのは、1割の5千億円。一方、年金や医療の給付減と負担増で7千五百億円削減です。しかも、景気の先行きが不透明なのに、景気条項を削除して2017年4月に増税先送りというのは、あまりに無責任。そもそもこれまでも消費税で増税された金額と法人税で減税された金額はほぼ均衡。世界のトヨタが、五年間法人税を払っていなかったことがニュースになりました。今回も法人税の実効税率を今の36%から20%台に下げるそうです。大企業を応援することで海外へ出た企業を国内に戻し、さらに国内での再投資力を強めるためとの説明。しかし、90年代から法人実効税率は下げ続けているにも拘わらず、企業の海外生産比率は一貫して上昇しており眉唾もの。しかも様々な控除制度があるため、実際の税負担は、財務省の資料でも11年度は、すでに21.3%です。「デフレ脱却と景気の好循環を」というのであれば、まずやるべきは庶民の懐をどう暖めるかということ。ところが、安倍政権がやろうとしていることはまるでアベコベ。今こそ必要な農業所得保障制度はなくし、TPPへ前のめり。働く者を保護するルールの破壊に着手。富裕層と輸出大企業だけがもうけを独占する株高と円安政策。社会保障プログラム法に沿って医療・介護を切り捨て。生活保護費を削減する一方、ワーキングプア解消の有効打である最低賃金を、先進国中最低クラスから「暮らせる水準」に引き上げようとの意思表明はありません。富裕層と大企業応援政治を継続するのか、応能負担による庶民を応援する政治に舵を切るのかが問われています。

その他にも、「何でも官邸団」と言われる「オレ様流」の独善的政治手法や沖縄の民意に耳を傾けようとしない姿勢、特異な歴史認識で経済的な結びつきが強い中国・韓国との関係を悪化させ、ネオナチとの親密ぶりがうわさされる政権の危険な体質も問われるべきでしょう。

おそらく今回の衆院選が終われば2016年の参院選までこの政権を審判する国政選挙はありません。安倍首相の言う「この道」の先に思いを巡らせ、確実に一票を行使しましょう。

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