風に吹かれて 24(2014年10月25日)

佐々木委員長コラム「風に吹かれて」 24(2014年10月25日)

読書の秋に読んでほしいオススメの3冊(その2)

「ドキュメント ブラック企業」/今野晴貴+ブラック企業対策弁護団著/ちくま文庫/680円+税

大きな社会問題となっているブラック企業。ブラック企業とはどういう存在なのか。本書は、数千の相談事例を基に、その手口を徹底解明。被害者救済に尽力してきた弁護士とともに「対抗マニュアル」として「武器」を具体的に示しています。相談先として弁護士や弁護士団体、労働組合、各行政機関などが紹介され、選ぶ際のポイントや解決までの道のりが示されます。これまでにない「労働法解説」を超えた実践の書です。 それにしても最近のやり口をみると政府もかなりブラック化しているような・・・。

「なぜローカル経済から日本は甦るのか」/冨山和彦/PHP新書/780円+税

著者は、産業再生機構での実績から、企業再生のスペシャリストとされる人物。細部にわたってはいろいろ異論のあるところ。しかし、グローバル経済圏の世界とローカル経済圏の世界を区別してその際立つ違いから導き出す処方箋は斬新です。 現行のアベノミクスは雇用の20%、GDPの30%を占めるに過ぎないグローバル企業支援がほとんど。雇用の80%、GDPの70%を占めるサービス業を中心とするローカル経済を再生してこそ「地方創生」。「地方創生/国こそ変わらなければ」と北日本新聞の社説は指摘していました。今年の人勧で打ち出された「給与制度の総合的見直し」は、地域賃金相場に影響が大きい地方公務員給与の低位平準化に繫がるだけでなく、高齢化が進む地方では特にシニアと女性の活躍する場が必要にも拘わらず、「生涯賃金」が均衡している中で、ベテラン職員の給与を一律引き下げるというもの。これまでの政策を反省しない地方創生策では百害あって一利なしです。

「資本主義の終焉と歴史の危機」/水野和夫/集英社新書/740円+税

なかなか刺激的な標題です。米国ではトマ・ピケティの「21世紀の資本論」という本が大著にも拘わらず売れているそうです。この本も「簡単な新書ながら大著に匹敵する内容。叙述と分析の一つ一つが説得力を持ち、目からうつばりがとれる思いがする(溝口敦氏)」「21世紀の資本主義が全般的危機に直面している現実を解明した好著(佐藤優氏)」との書評に見るようになかなか硬派な内容ながら、既に10万部以上売れているそうです。

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