自衛隊発足から60年を迎える7月1日、安倍内閣は、集団的自衛権の行使容認を閣議決定。次に政府が狙うのは、海外での武力行使を具体化するための自衛隊法等見直しと日米ガイドラインの大幅改訂。最終的には「国家安全保障基本法」の制定と言われています。
憲法9条を変えたいが、難しいのでまず改憲要件を定めた96条を変える。その96条先行改訂論が批判を浴びたら、今度は集団的自衛権行使容認へ憲法解釈を変える。憲法解釈に番人の内閣法制局が抵抗するなら、長官の首をすげ替える。
集団的自衛権の行使論者は、よく「自虐史観」という言葉を使いますが、それは権力者の事実誤認や勝手な引け目からでた「歴史修正主義」の色合いが強いもの。過去の悔悟を直視しない「反省を知らない大人たち」のためにある言葉です。安保法制懇メンバーは「時間不足で実質的な議論ができず、私たちは踊らされたスズメだった」と発言。当初は「期限ありきではない」と語っていた首相が態度を変えると、密室の与党協議は、わずか十一回、13時間の現実感のない議論で、合意に向けた技法を協議。閣議決定案を審議した自民党総務会では、異論が相次ぎ、会長一任という異例の展開。おじいちゃんを超えることに執念を燃やす「戦争を知らない子どもたち」の三世首相は、「反省を知らない大人たち」でもあるようです。「解釈改憲/国民無視を貫く政権(7月2日北日本新聞社説)」をはじめ多くの同様の指摘に対し、謙虚に反省すべきです。
6月24日、安倍内閣は経済財政運営の基本方針「骨太の方針」と成長戦略「日本再生戦略」改訂版、規制改革実施計画を決めました。キャッチフレーズは「日本の稼ぐ力を取り戻す」です。その内容の多くを企業の負担軽減に割いています。しかし、問題は一部の企業や富裕層が富を蓄え、地方を含めた多くの人たちに負担がしわ寄せされていること。その解決策と暮らし改善の道筋は見えないままです。むしろ、国民共通の財産である年金積立金を使った株価操作、財源裏付けのない法人減税、成果で賃金を決める過労死促進の労働時間規制緩和、「強制労働」との批判もある外国人技能実習制度拡大など逆行する政策が。また、最近の首相は、原発や武器輸出のトップセールスやカジノ賭博解禁にも熱心です。これでは「骨太方針」ではなく庶民「骨皮方針」と呼ぶのが相応しい代物。いくら巨大与党と言っても、こんな傲慢が許されて良いはずがありません。