風に吹かれて 20(2014年6月10日)

佐々木委員長コラム「風に吹かれて」 20(2014年6月10日)

安倍首相をめぐる五つの疑問と七つの不思議

諸説あるようですが、富山県民とすれば、日本三大仏といえば、奈良、鎌倉、高岡。三大七夕祭りといえば、仙台、平塚、高岡か。そう言えば、道鏡、平将門、足利尊氏の三大悪人というのも。それにしても最近の安倍首相は、後に「三悪政」と呼ばれかねない政策に前のめりです。

首相の私的諮問機関である安保法制懇は、5月15日政府に報告書を提出しました。集団的自衛権行使は憲法解釈で可能という内容。連合をはじめとする各労働団体は一斉に批判。富山でも5月29日集会とデモを実施しました。首相は記者会見で事例を示して憲法解釈の変更を訴えましたが、その説明には様々な疑問が。「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」が継続して開催されています。5月19日の講演で元内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)の柳澤協二氏は、五点にわたり疑問点を提示しています。①「北朝鮮のミサイルは日本の大部分を射程に入れている。・・核兵器の開発も・・(首相)」→軍事評論家の間では、北朝鮮が攻撃してくることはないとの共通認識。攻撃前提は非現実的で逆に緊張を高めるだけ。②「海外の日本人が住んでいるところで突然紛争・・(首相)」→戦争を起こそうとすれば、燃料や武器弾薬調達など大きな動きがあるのですぐわかる。緊迫した時点では、外務省が情報や勧告を。紛争時多くの日本人が巻き込まれるとのシナリオは非現実的。③「同盟国の米国が日本人を救出。その輸送船が日本近海で攻撃・・(首相)」→まず安全なところへ避難。落ち着いたところで日本へ輸送。これが鉄則だ。パネルには米国の軍艦が描かれていたが、有事には武器弾薬を積めるだけ積むから、民間人を乗せるスペースなどない。④「日本人が乗った輸送船が攻撃されても今の憲法解釈では守れない(首相)」→そもそも輸送船は危険なところは通らない。仮に乗っている日本人を守るための応戦であれは、米軍の船だろうが、民間の船だろうが、個別的自衛権で対応可能。輸送経路の安全確保というシナリオなら、警察権。むしろ首相の想定する事態は、官邸の危機管理上の大失敗ということ。⑤「あらゆる事態に対応できる法整備があってこそ抑止力。抑止力を高めることで、・・戦争に巻き込まれなくなる(首相)」→他国を助けることが、どうして抑止力に直接つながるのか。他国への応戦で高まる日本攻撃のリスクこそ説明せよ。

また、関西大学名誉教授の森岡孝二氏は、「労働時間制度を巡る七不思議」としてこの動きを批判しています。①なぜ労働時間制度が経済成長戦略になるの?②労働者代表も厚労大臣も蚊帳の外で良いの?③一度死んだ「残業代ゼロ法案」が何故蘇る?④もっとハードな働き方なのに何故「柔軟な働き方」になる?⑤青天井の36協定を認めている労組では歯止めにならない⑥会社の求める働き方に「ノー」とは言えない⑦過労死防止法案(自民)をまとめながら「過労死促進法」を持ち出す不思議。

安倍ブラック政策で庶民の暮らしを食い潰されないようにしなければ。

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