復帰間もない頃、しばらく沖縄で暮らしていました。当時の沖縄では「NHK嫌い」の人が相当いて、「何故」と聞いたら、「本土目線の放送を勝手に流しておいて料金まで取るのが気に入らない」と言っていました。そもそもNHKの受信料は、戦時下に「大本営発表」を一方的に報道し、国民を戦争に駆り立てた歴史的経過から、公共放送の独立性を担保すべく受益者から負担金を徴収し「確かな報道を伝える」ことを目的に法律で許されたもの。批判が相次いだ籾井会長や百田、長谷川両経営委員の発言では、何時から「皆様のNHK」が「安倍様のNHK」に変わってしまったのか、と感じた人も多いのでは。「大本営発表の放送を垂れ流して料金まで取る気なのか」と言ったら言い過ぎでしょうか。
憲法解釈見直しによる集団的自衛権行使を巡って、自民党は9年ぶりに総務懇談会を開催。出席者からは慎重論が相次いだとの報道がありました。元自民党幹事長の古賀誠氏は、横浜市内での講演で安倍首相が憲法解釈をめぐり「最高責任者は私だ」と発言したことを「愚かな坊ちゃん的な考え方だ」と批判しています。「馬鹿な大将、敵より怖い」という言葉があります。与党自民党には、愚かな司令官をきちんと諫める責任があると思うのですが・・・。
2月県議会では、自民党が「憲法改正の早期実現を求める意見書」を提出。自民党以外の全会派が反対を表明するなか、強引に採択しました。意見書は、憲法尊重擁護義務(99条)がある国務大臣及び国会議員に、国民への改憲働きかけを求める内容で、近代的立憲主義と国民主権に明白に反するもの。特別職公務員である議員の憲法違反強行は、とても「選良」の行為とは思えません。かつての「保守」にあった「視野の広さ」と「懐の深さ」はもはやありません。また、意見書が県民の「民意」を反映しているとも思えません。庶民が望んでいるのは「世界一暮らしやすく、働きやすい国」造りです。そのためには、低さ際立つ日本の最低賃金改善、不安定雇用から正規雇用への転換促進、正社員の長時間労働歯止め強化こそが最優先の課題です。経済のグローバル化と言われますが、そうであれば、働くルールもまた世界の標準にすべきです。「国際労働基準」とはILOの条約・勧告の総称です。日本は常任理事国でありながら、183ある条約のうち約4分の1(48条約)しか批准していません。特に労働時間、休暇に関する条約の批准は皆無。超巨大与党だからこそ、より謙虚に慎重に「民意」に沿った政治が望まれます。