風に吹かれて 16(2013年12月10日)

佐々木委員長コラム「風に吹かれて」 16(2013年12月10日)

福島原発事故から3年目の冬/それでも原発ありきを続けるのか

福島原発事故から3年目の冬を迎えようとしています。復興庁は、全住民が避難している大熊・双葉町の全世帯に意向調査を実施。避難民の6割超が「町に戻らない」と考えていることが明らかになりました。避難者支援を行っている市民ネットの調査でも同様の結果。しかも、避難生活の長期化で7割が生活に困窮と答えています。未だに14万人の県民が避難生活を強いられ、帰還の展望を持てないでいます。自治労県職共闘では、福島県職労の呼びかけで、くらしを再建するために、事故を風化させないために、10月25日~26日に「被災地フクシマを巡るフィールドワーク」を開催しました。富山県職労からも3名の仲間が参加。避難住民や被災地自治体職員と交流し、20キロ圏内の現地視察を行いました。

安倍首相はIOC総会で汚染水漏洩問題に対し、「状況はコントロールされている」「影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」と言い放ちました。原発再稼働や輸出にも熱心です。放射能をまき散らすことが「お・も・て・な・し」とはブラックすぎます。

国のエネルギー需給に関する総合指針「エネルギー基本計画」が1月にも閣議決定されようとしています。事故後初めての計画であり、原発の取扱いに注目が集まります。12月に入り原案が示されましたが、政府は原発を「重要なベース電源」と位置づけ「再稼働推進」を明記。急ぐ理由は、電力会社の黒字化のため。しかも、審議会の議論では「福島」という言葉はほとんど出てこないのです。

しかし、脱原発の声は衰えを知りません。県職労でも取り組んだ脱原発一千万人署名は、11月に837万筆になり、集会とデモも実施。こうした民意を示す市民行動を「テロ行為と変わらない」と述べた石破幹事長は、「つい本音が出た」のだと思います。

お釈迦様さえ言い残す/金より命が大事だと/人間滅びて町があり/魚が死んで海があり/それでも原発ほしいなら/東京 京都 大阪と/お偉いさんの住む町に/原発どんどん建てりゃよい/ここは孫子に残す町/原発いらない よよいのよい/反対反対 よよいのよい

山口県で30年間続く原発建設反対運動で生まれた「上関原発音頭」の一部です。庶民のくらしに貢献しない経済も政治も科学技術も間違いだということをよく示しており、見事というしかありません。京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは、「原発は権力犯罪であり、未来への犯罪」と糾弾します。権力中枢の毒入り安倍川餅には今後も要注意です。

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