風に吹かれて 13(2013年9月10日)

佐々木委員長コラム「風に吹かれて」 13(2013年9月10日)

政府の生活破壊圧力ハネ返す運動を

総務省は、7月1日実施というヤマを越えた8月、地方公務員の賃金削減の実施状況を公表しました。同省によると、削減した自治体が46%、実施予定・組合と協議中が7%、検討中が21%で予定なし・もしくはすでに同水準の独自減額実施済みは25%。議会で否決も1%ありました。一方、自治労の集計によれば、「削減ありで妥結」した751組合のうち9割を越える721組合が国の要請どおりの削減でなく、何らかの緩和措置を引き出しました。これは、運動の成果であると同時に「国の削減要請は間違い」と多くの自治体が考えていることの証明でもあります。

しかし、政府与党は地方交付税改革を掲げた骨太方針など着々と賃金削減の布石を打ちつつあります。新藤総務相は8月2日、削減未実施の自治体にペナルティーは考えていないとしながら、「歳出が適切だったのか、当然検討する」と述べ、前後して都道府県と政令指定都市の担当者を呼びつけ、速やかな削減実施を求めました。参院選では政策集で一層の人件費抑制策を表明する自民党が圧勝。8月8日の人事院報告では、これに歩調を合わせるかのように「給与制度の総合的見直し」が盛り込まれました。また、消費増税の判断を控え、公務員賃金だけでなく、地方交付税や社会保障にも大ナタを振るおうとしています。リーマンショック後に創設され、今年度交付税総額の約1割近い「特別枠」1兆5千億円の見直しや交付税配分にいわゆる「行革インセンティブ」導入を骨太方針に記載。地方財政計画も見直す方向と言われています。さらに、8月21日、社会保障制度大改悪の道筋を示した「プログラム法案」が閣議決定されました。医療では、70~74歳の患者負担を2割に倍増。紹介状のない大病院受診に定額負担。保険料値上げや地域間格差につながりかねない国民健康保険の都道府県移管を提起。介護では、約153万人を介護保険から切り離し、ボランティア活用を前提に市町村へ移管。特別養護老人ホームの入所対象者からも排除。年金では、マクロ経済スライドで給付を減額。支給開始年齢のさらなる引き上げ検討を進めるとしています。まさに低福祉・高負担社会への工程表です。

秋期闘争がスタート。9月4日には東海・北陸の6県職労としてブロック各人事委員会へ要請行動を実施。期限を明示したカットの終了要請や、国は配分の問題でも地方では水準の問題となる「総合的見直し」を行わないこと、など要請しました。特に、都道府県にとって欠陥制度である「地域手当」の矛盾をさらに深めるような制度改悪は認めるわけにいきません。今後、連合や地方六団体と連携した運動も重要です。特にこの先1年は私たちの暮らしを左右するターニングポイントになりかねない重要な時期。生活破壊圧力をハネ返す運動が必要です。

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