再び自民・公明の連立政権が始まりました。自民党として昨年4月に発表した「ヤバすぎる憲法改正案」に沿って軍隊の復活を明言し政権についたタカ派内閣。しかし、当面は「改憲」を封じ込め、「デフレ脱却」を全面的に打ち出しています。
では、政府の経済政策で国民の暮らしはよくなるのでしょうか。確かに株価は上がり、円安が進んでいます。でも、やっていることは10年前に小泉内閣がやったことと基本的に変わりません。当時も日本銀行の通貨供給量を大幅に増やし、その後景気がよくなりました。02年から08年のリーマンショックまで、「イザナギ越え」といわれる長期の好景気が続いたのです。ただ、その成果は大企業と富裕層が独占しました。大企業の役員報酬は2倍、株主への配当金は3倍に増えた一方、労働者の給与は減り続けました。
景気拡大局面だからといって庶民の生活が楽になったり、安心の度合いが高まるわけでないことはすでに経験済みなのです。むしろ、極端な金融緩和は株価上昇による国債金利の上昇や円安による貿易赤字拡大、物価上昇による生活費の増大などの「副作用」もあります。また、もう一つの柱である「国土強靱化」では、かつてないほどの公共事業への財政出動がされようとしています。しかし、少子・高齢化、人口減社会に即した内容とはとても思えません。むしろ、「負の遺産」と「巨額の財政赤字」を将来に残しかねないとの不安が残ります。
経団連は「経済労働政策委員会報告」を発表。「ベースアップは論外」、「定昇凍結にも踏み込む」と主張。対する連合は「痛んだ雇用と労働条件の復元」、「諸手当含む給与総額の1%引き上げ」を主張しています。「物価は上がるが、賃金は増えない」、「年金額はスライドされない」、「子ども手当や生活保護切り下げなど、平等化政策は破壊する」では、超格差社会ができてしまいます。経団連でさえ「賃下げ」とはいっていません。
ところが、政府は地財を「人質」に地方公務員の給与削減を迫っています。地財審は、そうした措置は不適切と意見書を提出。知事会も「既に都道府県は国を大きく上回る行財政改革を断行」「地方財政・交付税を減らすことになれば、デフレの克服・地域経済の活性化はない」などと反論。
小泉改革と同じ失敗を繰り返さないためにもいま打ち出すべきは、雇用・賃金と社会保障の回復による国民生活再生への大胆な政策転換です。