風に吹かれて 5(2012年12月10日)

佐々木委員長コラム「風に吹かれて」 5(2012年12月10日)

富山県職員の「本当」の賃金水準は

十一月一日の財政制度審議会に向け、新聞各紙が「地方公務員給与が国家公務員給与を上回っている」等と報じました。地方交付税の需要額算定を引き下げようと狙う、財務省のリーク記事であることは明らかですが、その「大本営」発表を検証もせずそのまま掲載するマスコミの劣化ぶりも際立っていました。特に朝日新聞などは、「ラスパイレス指数」の用語解説さえ、堂々と間違って掲載する始末。

組織内議員の又市参議院議員は、直ちに対応。知事会も反発。樽床総務相は、二日の閣議後記者会見で「権限のない役所が勝手な数字を出して世論をリードすることは、はなはだ不適切」と批判し、城島財務相に抗議したことを明らかにしました。また、「臨時的措置を実施中の国と、そうでない地方を同列に比較することは適当でない」との認識も示しました。

今公表されている富山県のラス指数は99.8。地域手当補正後のそれは、97.8です。しかし、そもそもラス指数は、地方公務員が高くなる算定方法がとられています。適切な比較とするための問題点は大きく次の三点。「①国は霞ヶ関では、地方より高い18%の地域手当が支給されているが、ラス指数の算定には地域手当等の諸手当が含まれていない」「②国は局長などの指定職が算定の対象となっていないが、地方は部長級まで含めて比較している」「③国の大卒割合は約5割、地方の大卒割合は約7割であるなど、実際は国と地方の学歴別職員構成が違うにもかかわらず、国の職員構成を一律に用いて計算している」です。人事院の官民比較も人事委員会の公民比較も諸手当を含む「給与月額」で比較します。国の給与月額は、人事院が、地方の給与月額(国ベース換算)は総務省が毎年公表しています。これを用いて富山県と国を比較したのがグラフです(H24の富山県給与は想定)。国が増加している一方、富山県は減少しています。また、富山県の方が平均年齢が高いにもかかわらず、国を下回っています。特に、平成24年では、国が特別減額中でも、富山県はそれを下回る水準と想定されるのです。

グラフ-国公と富山県職員給与の変遷

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