県職労の主張(2020年11月12日)

2020 富山県人事委員会報告に対する声明

 富山県人事委員会は、本日、知事及び富山県議会議長に対して、富山県職員の給与等に関する報告及び勧告を行った。

 その概要は、本年4月の公民較差に基づき、月例給は僅差であり改定を見送ること、一時金は新型コロナウイルス感染症下で経済活動が停滞したことなどを受け期末手当を0.05月引き引き下げる内容であり、コロナ禍で懸命に業務を遂行している職員の思いを受け止めたものではない。さらに再三にわたり早い段階での勧告実施を申し入れたにもかかわらず、本日の勧告は十分な労使の協議期間を保証しているとは言えず労働基本権の代償機関としての立場を疑わざるを得ない。こうした報告・勧告に対し、以下の点について県職労としての見解を示す。

第一は、県職員のあるべき賃金水準への認識についてである。

 本年の月例給据え置きと一時金の引下げ勧告については、人事院勧告などからは想定される内容ではあったが、月例給については連合富山の集計では2%の賃金改善がなされている現状からは見ると県内民間企業の動向等を精確に反映したものとは言い難い。その意味では組合員の期待感や実質賃金の維持・向上という強い要求に十分に応える内容には至っておらず、極めて不満な内容である。また、厚生センターや中央病院、対策本部等では昼夜を問わず感染防止に向け献身的に業務に当たった職員の思いとはかけ離れた内容である。

 さらに、公募数減少の対策として初任給の処置・改善勧告を求めてきたが、採用方法の多様化のみが触れられており、私たちの要請にはまったく応えようとしておらず、採用公募を所管する組織としての責務を果たしていない。

第二は、地域手当支給方法への問題解消に関与しない姿勢である。

 手当の創設から10数年経っており、すでに問題点は明白である。これまでに県人事委員会で行った各県の支給状況の全国調査の結果や県内民間企業における実態においても、富山市だけ3%支給という現在の支給方法を継続していくことには問題があることから、是正勧告を求めてきた。我々としては、過去の人事委員会調査の矛盾の解消を含め取り組んできたが、地域手当の県内の支給のあり方についての全く問題解消をしようとしないスタンスは大変憤りを感じる。

第三は、長時間労働是正にむけた具体的な方策が不十分である。

 我々は、時間外勤務の上限が守られるよう働き方改革関連法の成立以前から県職員の長時間労働の改善を訴えてきた。しかし、本年勧告においても、県と合意してきた「法令順守」「過労死ライン超え『0』」への具体的な勧告・報告がなされていない。昨年の規則改正以降、上限時間超、36協定超、過労死ライン超え等の規則違反を認識しながら、規則に謳われる要因分析などが未だに出されていないこと、長時間労働改善に向けた具体的な対策すら示していないのは、労働基準監督権限を有する人事委員会としての主体的な取り組み姿勢はみじんも見ることができない。

第四は、会計年度任用職員や任期付職員などへの処遇改善への方策が全く見えないことである

 県の職場では、本年4月から会計年度任用職員制度が導入された。しかし県が定めた制度が総務省通知や「同一労働同一賃金」という流れなどにも適合した内容とすべきにもかかわらず「適切に運用していく必要がある」との認識にとどまっていることは大変問題である。さらに一時金の減額勧告について「常勤の職員との取扱いを踏まえるべき」としたことはこれまでの協議経過からすれば、大変遺憾である。任期付職員制度についても制度の乱用とこの間指摘してきたが、有期雇用の問題にも全く触れられていない。



 本年の報告・勧告は、公務員の労働基本権制約の代償措置機関としての人事委員会勧告制度である以上、私たちの声に応えるというその責務は果たされておらず、また、富山県職員の生活・職場実態を鑑みた場合、納得できるものではない。今後は県当局に対し秋季闘争において職員が意欲を持って、健康で安心して働き続けられるよう賃金・労働条件の改善をめざし、組織の総力を挙げて取り組みを強化していくものである。

 2020年11月12日

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