県職労の主張(2018年10月12日)

2018 富山県人事委員会報告に対する声明

富山県人事委員会は、本日、知事及び富山県議会議長に対して、富山県職員の給与等に関する報告及び勧告を行った。  その概要は、本年4月の公民較差に基づき、月例給を616円(0.17%)、一時金を0.05月引き上げる内容であり、月例給と一時金ともに5年連続で引き上げ勧告となった。しかし、8月から取り組んだ全組合員署名での要請事項に応えることなく、国追随の勧告であり、大変遺憾であると言わざるを得ない。こうした報告・勧告に対し、以下の点について県職労としての見解を示す。

第一は、県職員のあるべき賃金水準への認識についてである。

本年の月例給と一時金の引き上げ勧告については、今年の民間春闘結果や人事院勧告からは当然の結果であるが、県内民間企業の動向等を精確に反映したものとは言い難く、また、組合員の期待感や実質賃金の維持・向上という強い要求に十分に応える内容には至っておらず、人事委員会の公民比較が精確に行われたのかという疑念を抱かせるものであり、不満といわざるを得ない。  さらに、「給与制度の総合的見直し」による賃金水準の引き下げについて、その改善に言及しないばかりか、優秀な人材の確保からも必要である若年層の賃金改善も十分ではなく、私たちの要請にはまったく応えようとしておらず、労働基本権代償措置機関としての責務を果たしていない。

第二は、地域手当支給方法への問題解消に関与しない姿勢である。

手当の創設から10数年経っており、すでに問題点は明白である。これまでに県人事委員会で行った各県の支給状況の全国調査の結果や県内民間企業における実態においても、富山市だけ3%支給という現在の支給方法を継続していくことには問題があることから、是正勧告を求めてきた。また、人事委員会が今年行った県内の給与水準調査結果では、制度の問題点は解明されなかった。加えて、地域手当の県内の支給のあり方について、勧告・報告でも全く触れられておらず、地域手当の支給方法の問題解消をしようとしないスタンスは、私たちの思いに応えようとしておらず大変憤りを感じる。

第三は、長時間労働是正にむけた具体的な方策が不十分である。

昨年の勧告時、長時間勤務に改善には、①勤務時間の適正な把握②任命権者、管理監督者、職員の意識改革、③業務改革の徹底が重要であり、積極的に取り組むことの必要性を任命権者に求めたにも関わらず、県の行っている取り組みを単に書き込むのみで、本気で長時間労働縮減を行う姿勢が伺えない。 県の職場では、過労死ラインを超えて時間外勤務を行った職員は昨年度延べ642人となっており、また、今年5月には県の教育職場で過労死が認定されるなど、人の命に関わる喫緊の課題である。病休者も増加しており、職場からの時間外労働縮減に向けた方策については、「業務に見合った人員配置」「人員増」の声が多数を占める。労働基準監督権限を有する人事委員会としての主体的な取り組み、及び任命権者に対して早急な改善が求められる中にあっては、不十分と言わざるを得ない。

本年の報告・勧告は、公務員の労働基本権の代償措置機関としての人事委員会勧告制度を考えた場合、月例給・一時金の引き上げは当然のものであり、富山県職員の生活・職場実態を鑑みた場合、全てが納得できるものではない。今後は県当局に対し、秋季闘争において職員が意欲を持って働き続けられるよう賃金・労働条件の改善をめざし、組織の総力を挙げて取り組みを強化していくものである。

2018年10月12日

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