県職労の主張(2016年10月17日)

2016 富山県人事委員会報告に対する声明

富山県人事委員会は、本日、知事及び富山県議会議長に対して、富山県職員の給与等に関する報告及び勧告を行った。  その概要は、本年4月の公民較差に基づき、月例給を475円・0.13%、一時金を0.10月引き上げる内容であり、月例給と一時金ともに3年連続で引き上げ勧告となった。しかし、9月に取り組んだ全員署名での要請事項に応えることなく、国追随の勧告であり、大変遺憾であると言わざるをえない。こうした報告・勧告に対し、以下の点について県職労としての見解を示す。

第一は、県職員のあるべき賃金水準への認識についてである。

本年の月例給と一時金の引き上げ勧告については、民間賃金の動向等を踏まえたものであるとはいえるが、この間の消費税率引き上げや地共済掛金引上げ、物価上昇局面にあって、実質賃金の維持・向上という強い要求に十分に応える内容には至っておらず、不満といわざるを得ない。  さらに、管理職の独自賃金カットは10数年間、臨時的減額措置と称し人事委員会勧告を無視して継続されているにもかかわらず、「諸情勢が整い次第、解消に向け努力され、給与勧告制度に基づく本来の職員の給与水準が確保されることを要望する」とほぼ毎年同様の報告をしており、労働基本権代償措置機関としての責務を果たしていない。

第二は、地域手当支給方法への問題解消に関与しない姿勢である。

労使検討会の協議結果を踏まえ任命権者からの依頼を受け、各県の支給状況について改めて全国調査を実施し、地域手当が支給されている都道府県の多数で、独自勧告が出されている結果がでた。また、県内民間企業でも富山市内外勤務で較差支給していない実態が把握できたにもかかわらず、このことについて、勧告・報告でも全く触れられておらず、地域手当の支給方法の問題解消をしようとしないスタンスは、私たちの思いに応えようとしておらず、大変憤りを感じる。

第三は、扶養手当の見直しについて、国追随の姿勢についてである。

「人事院勧告の趣旨に沿った方向で見直しを行うべき」と本県の民間給与実態を顧みず、国追随の見直し勧告には問題がある。さらに、実施時期・経過措置などに言及せず、労使協議に任せた内容となっており、第三者機関としての勧告に対する姿勢に問題があると指摘しておかなければならない。

第四は、職場実態とはかけ離れたワーク・ライフ・バランスの推進報告である。

報告・勧告の内容は、毎年更新し続けている時間外勤務に対する人事委員会の危機感が全く感じられず極めて残念である。この間の人員削減により、職場は疲弊し、職員の労働は密度を増しており、職場から時間外労働縮減に向けた方策を問うと、「人員増」「欠員補充」などの回答が多数を占める。報告にある事項は既に職場で実施済みの内容を羅列しているだけであり、具対的解決策にはなっていない。また、多くの職員から、「休暇制度などは充実してきても、人員が足りない職場実態では、取得が出来ない」との声が聞こえており、職場実態を直視しない机上の空論と言わざるを得ず、遺憾である。

本年の報告・勧告は、公務員の労働基本権の代償措置機関としての人事委員会勧告制度を考えた場合、月例給・一時金の引き上げは当然のものであり、富山県職員の生活・職場実態を鑑みた場合、全てが納得できるものではない。今後は県当局に対し、秋季闘争において職員が意欲を持って働き続けられるよう賃金・労働条件の改善をめざし、組織の総力を挙げて取り組みを強化していくものである。

2016年10月17日

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